光コラボレーションの
メリットとデメリットとは?
光コラボレーションモデル(光コラボ)は2015年2月の開始以降、数多くの企業やユーザーが導入し普及が急速に進んでいます。
その理由は、事業者にとってもユーザーにとっても、メリットが存在するためです。この記事では光コラボレーションモデルのメリットとデメリットを紹介します。
光コラボレーションモデルを採用するメリット
光コラボレーションモデルを採用するメリットを、光コラボレーション事業者となる企業と、そのサービスを利用するユーザー双方の観点から考察します。
光コラボレーション事業者にとってのメリット
光コラボレーション事業者にとっての最大のメリットは何と言っても、自社サービスに通信を組み合わせたサービスをパッケージ化し、ユーザー(お客様)にワンストップで提供することが可能となることです。
例えば、光コラボレーション事業者に多い携帯キャリア(NTTドコモ・au・SoftBankなど)の場合、モバイルデータ通信などの携帯電話サービスと、フレッツ光のもつ光アクセスサービスやひかり電話などのサービスを組み合わせてサービスを提供しています。
また、自社サービスが全てパッケージ化されることで、単価の向上や長期契約化に繋がり(サービス依存度が高まるため解約しづらくなる)、安定的な収益が確保出来るようになります。
ユーザーにとってのメリット
そして、ユーザーにとっても大きなメリットがあります。 それこそが、光コラボレーションモデルが急速に普及している理由です。大きく分けると3点あります。
料金が安くなることが多い
1つ目は「フレッツ光+プロバイダ契約」よりも料金が安くなることが多いと言うことです。
みなさまもよくご存知の携帯キャリアやインターネットサービスプロバイダの多くは、光コラボレーションモデルを採用したサービスを提供していますが、そのメリットとしてユーザーに訴求しているのは、
- 固定回線とモバイルのセット割
- 大容量通信や長期利用などでの割引
- プロバイダー利用料とのセット割
- ポイント還元
などの割引サービスです。
つまり、多くのユーザーは「価格面のメリット」を感じて光コラボレーションモデルのサービスを契約しています。
契約が1本化される
2つ目は契約や決済のわかりやすさです。
従来の「インターネット契約」と言えば、
- フレッツ光(回線)は「NTT」
- プロバイダー利用料は「プロバイダー」
というように契約とインターネット料金の支払いが分散していましたが、光コラボレーションモデルのサービスを契約する事で、支払いを1本化出来るようになります。
これは特にライトユーザーにとってはネットを使うための契約が1本化されるというわかりやすさがありますし、法人にとっても経理業務の低減などに繋がります。
契約が1本化されるということは、サポートについても基本的には1本化されることを意味します。つまり、トラブル時にNTTに聞くのか、プロバイダーに聞くのか悩む必要はなく、まずは契約した光コラボレーション事業者に問い合わせればよいということになります。
「転用」で回線切り替えが簡単に行える
3つ目は「転用」で回線切り替えが簡単に行えることです。
従来光回線の変更と言えば(例:NTTのフレッツ光から電力系の「eoひかり」への変更など)、
- 新回線の契約
- 旧回線の解約
- 新回線の工事
というような流れとなり、手続きの煩雑さはもちろん、新回線では新たに工事が必要になるなど、一時的にインターネット回線が使えなくなる状況が発生しました。
これが、固定電話サービスのひかり電話を利用していた場合さらにややこしく、一時的にNTTのアナログ回線(メタル回線)に契約を戻すなど手続きが非常に煩雑でした。
しかし、フレッツ光から光コラボレーションサービスへの切り替えは、「転用」という手続きを行う事で、局内工事のみでスムーズに乗り換えられます。
さらに、「フレッツ光」で使っていたオプションサービスの多くがそのまま利用継続可能となります。
※光コラボレーション事業者によりサービス内容は異なりますが、非対応のサービスの多くは従来通りNTTが提供するという形で継続可能となっています。
ただし、「転用」を行うためには条件があります。それは現在利用している光回線の種別によって変わります。
現回線 | 転用の可否 |
---|---|
NTT東西のフレッツ光 | 可 |
auひかり | 不可 |
電力系の光サービス | 不可 |
つまり、「NTTのフレッツ光からのみ転用が可能」ということです。
また、電力系の光サービスは、東日本エリアの方には耳慣れない言葉かもしれません。
主に西日本エリアの電力会社が提供しているサービスで、フレッツ光に比較するとサービスエリアは狭いですが、料金面で優位性があり一定のシェアを持っています。
提供エリアとサービス名をまとめると以下のようになります。
サービス名 | 電力会社名 | 提供エリア |
---|---|---|
コミュファ光 | 中部電力系 | 愛知県、静岡県、岐阜県、三重県 |
eo光 | 関西電力系 | 大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、福井県、和歌山県 |
MEGAEGG | 中国電力系 | 広島県、岡山県、山口県、島根県、鳥取県 |
Picara | 四国電力系 | 香川県、愛媛県、徳島県、高知県 |
BBIQ | 九州電力系 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
このように一概に「光を契約している」といっても、上記サービスを利用しているユーザーは「転用」による光コラボレーションサービスの契約はできず、従来通り解約→新規契約という流れとなるため、注意が必要です。
※転用ができないだけで、NTTのフレッツ光サービスエリアであれば、光コラボレーションモデルサービスの契約は可能です。
光コラボレーションモデルを採用するデメリット
では、逆に光コラボレーションモデルを採用するデメリットはあるのでしょうか。
光コラボレーション事業者にはほぼありませんが、ユーザーにはいくつかのデメリットがあります。
つまり、光コラボレーション事業者はこのデメリットが発生した場合、ユーザーに正しく理解してもらうようにする必要があります。
集合住宅(マンションタイプ)の場合安いとは限らない
前述の通り、光コラボレーションモデルで契約すると安くなることが多いのですが、それは戸建て向けの契約の話です。
従来の契約(フレッツ光+プロバイダ契約)の方が、料金が安くなる場合があり、特に集合住宅(マンションタイプ)ではその傾向が強くなります。
このため、特にマンションにお住まいの方は、料金面でのメリットが本当にあるのか、きちんと確認した上で契約することをお勧めします。
ほとんどの事業者は、見積り依頼をすれば、現契約との比較を含めて、シミュレーションをしてくれるはずです。
長期契約が前提になることが多い
いくら「転用」で移行が楽とはいえ、契約手続きなどは必要です。
「たった数百円安くなる程度なら、面倒なので契約しない」
というユーザーも現実的には多く、この為光コラボレーション事業者は多くの場合、割引施策を導入しています。
この時、割引の条件となるのは「長期契約」です。
携帯電話回線におけるいわゆる「2年縛り」と同じく、光コラボレーションモデルのサービスの多くは契約期間を設けています。
光回線(固定回線)においては、携帯回線で一般的な2年契約を超えて、3年契約・5年契約なども存在しており、契約するのは簡単ですが、解約には多額の違約金がかかることが多いです。
この為、契約期間については留意する必要があります。
まとめ
光コラボレーションモデルは、光回線のさらなる普及を促進するためのビジネスモデルです。
現状はフレッツ光の延長線上のサービスと見られがちであるため、「値段」にどうしても注目してしまいますが、本当のメリット・新しいサービスはこれから生まれてくると思います。
その可能性を持っているビジネスモデルなのです。
現状のメリット・デメリットを把握しておくことで、将来、自分にとってメリットが出てきたのか、何が変わったのかを比較しやすくなるでしょう。